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鳳来寺山 鏡岩のサラウンド音響を求めて

【鳳来寺山鏡岩の音響空間の創作】
研究のまとめとして、今までの調査測定データに聴感上の印象をすり合わせ、鳳来寺山の残響空間を再現します。
収録音声から得られた周波数特性や残響時間、ディレイを考慮し、デジタルツールを使用してサラウンドリバーブを作成します。

空間創作01 空間創作02 測定データをマルチに配置したサンプリングリバーブに読み込んで加工をし、空間再現をします。画像はNUENDOとIR-1。
鳳来寺山鏡岩のサラウンド音響を様々な視点から研究した成果とし、5.1chサラウンドリバーブをHouraijiVerbとします。
地形図から考察された反時計回りの移動、反射音の周波数特性なども再現されました。
HouraijiVerbはハイビジョン番組「天空に響け 仏法僧に寄せるシンフォニー〜冨田勲 Works2006 〜」の作品中に活用されました!



まとめ
【HouraijiVerb作成における参考データ及び資料】

・音響測定1、2から得た各種の測定データ
・仏法僧の周波数特性と鏡岩音響特性の照合による考察から得た情感
・鏡岩(松脂岩)のデータ考察から得た情感
・松脂岩の吸音データの考察から得た情感
・鳳来寺山の地形考察から得た情感

音楽が空間芸術であるのは言うまでもありません。特にヨーロッパの音楽は2千年余にわたる「響き」としての歴史を持っています。
中世以降は室内楽として発展し、閉ざされた「空間の響き」そのものが音楽となっていたと言えるでしょう。
音楽家は常に演奏家の技術や演奏される場所、つまり「響き」を考えて、そのキャンバスの中で一番美しく描ける世界を探求してきたはずです。 今日の音楽製作はデジタルツールの発展により演奏の制約も空間の制約も取り払われたと言っても過言ではないように思います。 個々のアーティストが、それぞれの思い描く音色や演奏表現、音響空間を新たに作り上げることは、もはや可能となりました。
音楽史に残る巨匠たちが生きていれば、このような自由な表現世界、無限のキャンバスを思う存分使って、音楽表現をしたことと思います。
当研究室が本プロジェクトで望んだのは、厳密な数値による科学的な音響解析ではありません。 人々の心を打つ“響きの情感”を探ることです。今後も様々な音響空間を探求し、 人々の心を打つ“音楽表現”を考えていきたいと思います。

冨田教授が仰った「鏡岩は巨大な音響装置、楽器である」は、全てを集約しています。

 

音響ロマンの研究にご協力頂いた皆様、本当にありがとうございます。

2006 年11月12日  野尻修平