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サラウンド音楽制作レポートSONAR編

レポート制作/漢那 拓也

■ ミキシング工程

実際のミキシング工程を簡単にご紹介いたします。 今回制作したサラウンド音楽では、ドラム、ギター、ベース、ピアノ類といった、バンド編成の楽曲をミックスしました。

ドラムセット編

・ 音作りについて

ドラム音源には「 SONAR 6 Producer Edition 」初期付属の「 SessionDrumer2 」を使いました。容量の軽さ(1セットあたり、123メガ〜265メガ)の割にクオリティの高い音源といった感じで、音に自然な空気感があり、種類も豊富に揃えられています。

個人的な感想としては、「印象派」の絵画の様な感じのリアルさで、ヘッドフォンで聞くよりもスピーカーで聞いたり、音単体で聞くよりもドラム演奏として聞いたり他の楽器と混ぜたりした時の方がリアルに聞こえました。他の楽器に馴染みやすく、空間が感じられる軽容量の音源として、大変使い勝手が良いと思います。

一つの音に複数の波形(殆どは4つ前後だと思います)が用意されているので、 MIDI の打ち込み次第でかなりリアルな演奏にすることができるようです。

SessionDrumer2

SessionDrumer 2のスクリーンショット。楽器ごとにヴォリュームや広さ、パン、ピッチなどのパラメーターを個別に変更することができます。

今回は、この「 SessionDrumer2 」で制作したドラムパートを2系統に分け、片方にはアナログ感のある乾いた音の輪郭と、音圧を出すための「 Vintage Channel ( VC64 )」を、もう片方にはライブハウス的な臨場感を加えるために「 Perfect Space 」に生録音したバスドラムの波形を読み込み、重低音と空気感を付加させました。この2つのパートをバランスを取りながらミックスし、自分好みの音色に仕上げています。

VintageChannel

「 Vintage Channel 」の画面。初期付属とは思えないクオリティです。

PerfectSpace

こちらはコンボリューション・リバーブ「 Perfect Space 」の画面。いわゆるサンプリングしたインパルス・レスポンスを基に残響空間を生成するリバーブ(「鳳来寺山のブッポウソウ」などで使用した HouraijiVerb 等も、この手法を応用して制作しております。)なのですが、今回は音色合成ソフトとして活用しております。

・ サラウンド・ミックスについて

ドラム音源に限らないことではありますが、ステレオソースを下図のように中途半端な位置に置いてしまうと、それぞれのスピーカーから出た同形の波形がぶつかり合うことで位相のズレが生じてしまい、聴いていて気持ち悪く感じることがあります。

ドラム音像01

上図の場合、左右は違う波形ですが、前後は同じ波形のため、リスニングポイントをずらすと位相のズレを感じます。

 

ドラム音像02  ドラム音像03

ドラムセットの様に楽曲の軸になるような楽器は、 LR のフロントスピーカーかリアスピーカーに完全に割り振ってしまったまま動かさない方が、安定感があり、楽曲として聴きやすいものになると思います。尤も、この考え方はドラムセット全体を一つの楽器群としてまとめて扱う時の考え方なので、スネア、バスドラム、シンバルなどを個別の楽器として扱う場合はまた違ったミックス方法があるのではないかと考えています。よりアグレッシブなリズム感を出したい時などには個別にばら撒いた時の方が効果的な場合もありますが、安定性との兼ね合いがシビアな問題になってくるように感じています。

今回使用した「 SessionDrumer 2」は、ステレオソースとしてトラックにバウンスした時点で空気感のステレオ的な広がりがあったため、それを崩してサラウンド配置にするよりもステレオとしてフロントの L 、 R スピーカーにそのまま配置することを選びました。曲調から考えてもある程度の安定感が必要と考えておりましたので、今回のケースではこの配置がベターであったのではないかと思います。

 

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