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鶴岡講演レポート
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鶴岡市長によるご挨拶

講演会は 鶴岡市 長の富塚さんによるご挨拶から始まりました。講師の冨田先生への感謝と共に、今回の講演のきっかけをご用意して下さった、冨田先生のご子息の、冨田勝さんにもご丁寧にお礼をなさっておられました。

 

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講演の様子

冨田先生は、今から6年ほど前の暮、先端生命科学研究所の設立にあたり、ご子息の勝さんに連れられて、一面の雪に覆われた庄内を訪れられたそうですが、その日は遠くまで見渡せるような晴天で、遠く雪山が美しく連なる景色に、大変心を打たれたそうです。

また、 山居倉庫に近くにある酒蔵に案内された時に、東京でも中々手に入らない素晴らしいお酒を召し上がられたそうで、「その味が庄内平野の第一印象だった」とお話しされておりました。庄内独特の方言なども印象深く耳に残る中、東京にお帰りなったそうですが、その直後に映画監督の山田洋二さんから、「庄内平野を舞台にした、藤沢周平原作の時代劇をやろうと思うのだけれど、庄内平野はご存知ですか?」といった内容の、「たそがれ清兵衛」についてのお電話が偶然あったとのことでした。何とも運命的なものを感じずにはいられないエピソードです!

(なお講演の最後には、山田洋二監督の庄内平野を舞台にした 3 部作の中で、「たそがれ清兵衛」は日本アカデミー賞最優秀音楽賞を、 「武士の一分」では上海国際映画祭最優秀作曲賞を受賞されたことにも触れ、「まさに庄内平野の雰囲気を描いた、この作品が受賞されることになり、大変庄内の皆さんに感謝している」というようにも語られておりました。)

続いては40年も前の新日本紀行の映像を上映されました。上映された新日本紀行は丁度、黒川能を取り扱った回で、米農業と出稼ぎによって生計を立てていた、当時の庄内平野の様子も収録されていました。会場からは時折、当時を懐かしむような声が漏れ聞こえるようでした。

また、新日本紀行の黒川能の鼓(つづみ)を打つシーンでは、能舞台とそれ以外で叩いた時の音の響きの違いを紹介されていました。

音の響きへのこだわりをお話しされる中で、新日本紀行のテーマ曲に使われている拍子木の音を題材に、響きの有無による音楽性の違いを解説されていました。

当時は、いまの様な響きの良いデジタルリバーブが無かったため、非常階段の響きを使ったそうです。(参考記事: 浜松講演レポート )今回の講演では、まずはアナウンスブースで収録したままの音を再生し、次いで非常階段の響きを載せた拍子木の音を再生されましたが、その違いが一目瞭然(一聴瞭然?)であることは、会場の反応にも表れているようでした。

この非常階段の響きが加わった拍子木の音は、冨田先生が仰ったように、まさに「風に乗って飛んでいくような感じ」という表現がぴったりです!

その「新日本紀行ふたたび」のテーマ曲に載せて、再び古い時代の庄内の、稲穂を収穫する時の様子などが上映されましたが、その中でも特に印象的だったのが「全て手作業で刈り取るのがこだわり」という父親の後ろで、コンバインを使って何十倍もの速さで稲を刈り取っていく息子という構図の映像で、そこに庄内の、大きな歴史の流れを感じる象徴的なシーンにも思えました。

講演中にも、冨田先生が子供の頃の“田の草取り”の時の苦労話(戦時中は若い人たちが兵士にとられていたので、畑仕事ができるのが子供か年寄りしかいなかったそうです)をされて、「大変ではあったけれど、当時は“大変さ”の比較というものはなく、結構それでも楽しかった。そんなに悪い想い出はない。」と仰っておりました。「新日本紀行」の、稲穂を収穫する映像の中に登場する当時の庄内平野の人々、人一人分の重さのある米俵を一度に3つも(合わせて約150キロ、お相撲さんひとり分にもなるそうです!)背負う細身の女性や、一つ一つの稲穂を手作業で刈り取る男声の顔にも、苦悶の表情はなく、どことなく幸福感が漂っているようにさえ感じます。何より、直後に上映された、収穫した米を載せた全長1500mもの“ SL 豊作列車”が走る姿には、言い知れぬ、心の豊かさのようなものを感じました。

講演の最後には「黒川能などの昔から変わらないもの、ハイテクなど変わり行くもの、どちらも共に人の心を豊かにするもの」とした上で、「それらが出逢って同じ方向に向かうような、素晴らしい鶴岡になるよう、お祈り申し上げます」という冨田先生の言葉で幕を閉じられました。

古くから農業が盛んだった庄内平野。そこに今、新しく先端の科学技術が合わさって来ています。

 

いにしえ息づく 時の道で 

変わりゆくもの 変わらぬもの

たどり めぐりて 再び出逢う

面影を この心に

 

これは「新日本紀行ふたたび」の歌詞ですが、庄内米の品種改良にも代表されるように、農業と科学との出逢いによって豊かさを増していく、庄内にぴったりの歌詞ではないでしょうか。

私自身も作曲家として、古くから変わらない音楽の本質と、新しい技術の両方を大切にし、人の心を豊かにするような音楽を作っていきたいと思います。

 

最後になりましたが、お世話になった皆様に心からお礼を申し上げます。誠に有難うございました!

 

レポート著/漢那 拓也

 

 

関連 URL /

 

慶應義塾大学先端生命科学研究所ホームページ

http://www.iab.keio.ac.jp/jp/

 

「たそがれ」の音づくり語る  鶴岡市 文化講演会 冨田さんが庄内への思いも (荘内日報ニュース)

http://www.shonai-nippo.co.jp/cgi/0/ad_vw.cgi?p=dy:2007:10:21

 

 

 

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